旧石器時代からの古い歴史を持つ国
オリンピックの開会式入場順に、毎週、国旗と郷土料理からその国の魅力を知っていく「木曜は国旗弁当の日」!、今週は西アジアの国「アフガニスタン」の国旗弁当です。
アフガニスタンの現在の正式国名は「アフガニスタン・イスラム共和国」。現在のアフガニスタンを取り巻く状況は、内戦などを経てご存知の通り決して明るいものではありません。しかし、アフガニスタンは紀元前10万年の旧石器時代から人が暮らしていた遺跡が残っているほか、メソポタミア文明やインダス文明とも交流があった、大変古い歴史のある国。日本とはシルクロードを通じた交易がありました。
アフガニスタンは、さまざまな農作物が育つ肥沃な土地に恵まれた、もともと豊かな食文化を持った国なのです。
実際、にんじんやかぶなど、アフガニスタン周辺を原産とする身近な野菜は少なくないですし、アフガニスタンの炊き込みごはん「プラオ(パラウ)」には、にんじんがたっぷりトッピングされていたりします。
手元にあるアフガニスタンの料理やレシピを詳しく説明した「Afghan Food & Cookery」という本をざっと読んでみても、肉や野菜はもちろん、乳製品やドライフルーツ、ナッツなど、本当に食材が豊富。以前、元駐日アフガニスタン大使の方のご自宅にお招きいただいたことがあるのですが、カーペット敷きの部屋一面にさまざまな料理が並べられていて、そのすばらしさに息を飲む思いをした記憶があります。
アフガニスタンは、イラン(ペルシャ)やパキスタン、ウズベキスタン、一部中国などの国と国境を接した内陸国ですが、歴史年表を見ると、さまざまな王朝の支配を受けて、地続きのそれらの国々がもともと同じ国だった歴史も。そして多民族国家でもあり、料理も多様な民族や周辺国のいいとこ取りをした感じなのです。
ソ連が侵攻する1970年代半ばより以前は、首都カブールなどは自由な雰囲気のあふれる魅力的な都市だったといいます。よしあしはともかく当時はヒッピーの聖地でもありました(笑)。きっと居心地がよかったのでしょう。国の復興を心より願わずにはいられません。
にんじんとかぶの原産地。多様な民族のバラエティな料理
国旗弁当では、アフガニスタン原産の野菜を使い、周辺国や多様な民族の影響を受けた料理でアフガニスタンを表現してみました。
カバブは、アイスの棒を取っておいて(笑)スパイス入りのミンチした肉を巻きつけてこんがりと焼きました。お弁当用ミニ・カバブのアイデアです。主食は国旗色に合わせた3色のごはんを用意し、中央部分が、トマトを多めに入れて赤っぽくしたプラオ。左側の黒いごはんはいかすみ、右側の緑色のごはんはパセリ(ほうれん草でもOK)とグリーンピースを混ぜ込んでいます。
プラオのお米は、アフガニスタンではバスモティ米という長粒米を使いますが、今回は、日本で手に入りやすい日本のお米(ジャポニカ米)を使っています。ジャポニカ米に炒ったクミンを加えて固めに炊くと、香りがたち、バスモティ米のテイストに少し近づくと思います。
国旗中央のエンブレムは、ゆでたかぶの輪切りをくり抜いて表現しました(笑)。
アフガニスタンの復興を支援する「レーズン」
そして、食べるときにプラオにトッピングする「干しぶどう(レーズン)」も。レーズンをはじめドライフルーツはアフガニスタンの特産品で、戦争の被災から復興するための、大切な輸出商品でもあります。日本でも「アフガニスタン ぶどうプロジェクト」という、アフガニスタンのぶどう畑再生支援のための基金により、アフガニスタン産レーズンがCODEさんより輸入販売されています。
ぜひこの機会に食からアフガニスタンという国を知って、復興支援に関心を寄せていただけたらうれしいです。