タイ料理レシピ集

グリーンカレー

グリーンカレー

Gaeng Kiew Wan Gai (Nua or Muu)

数あるタイカレーの中でも、さわやかな辛さが日本人に人気のグリーンカレー。

以下は、バンコクおよびチェンマイのタイ料理学校と、プロの在日タイ人シェフから習ったレシピをもとに研究した本場式。作り方はけっこう簡単。隠し味のパームシュガーとちょっとの工夫が、おいしさのヒミツです(2012年7月28日更新)。

【材料】(4人分)

鶏肉
(牛肉、豚肉でも可)薄切り
300g
濃いココナツミルク
(ココナツクリーム)※
120ml (5mlほど飾り用に取っておく)
薄いココナツミルク (ココナツクリーム+ほぼ同量の水を混ぜて作る)250~280ml
グリーンカレーペースト 大さじ1~3
(好みで増減。初心者は大さじ1半~2くらいにして、あとで味を調整するのが無難。
ナス (中) 3本(一口大に切る)
たけのこ 120g(細切りなど食べやすい大きさに切る。入れなくてもよい)
スウィートバジル 30g程度
バイマックル
(こぶみかんの葉)
2~3枚(食用ではなく、香り付け用に)
ナンプラー (フィッシュソース) 大さじ2
パームシュガー
(なければきび砂糖)
大さじ1
鶏がらスープ (または白湯スープ)の素
顆粒のインスタント
大さじ1
赤パプリカ、黄パプリカ
(またはピーマン)
それぞれ1/4~半個(飾り用。細切り)

ほかにココナツミルク (飾り用。濃いココナツミルクから取っておく)大さじ1、ごはん(できればタイのジャスミン米)、パクチー(ごはんの飾り用) 適量
※250ml入りのココナツクリーム1パックで作れます。ココナツクリームが手に入らないときはココナツミルクをお使いください。また、濃いココナツミルクから、最後の飾り用に大さじ1杯分を別に取っておいてください。
ココナツミルクが余ったら、あとで砂糖を加えて容器に移し、冷凍庫で冷やしておきましょう。スパイシーなカレーの食後のデザートにぴったりな、さっぱりしたココナツシャーベットができちゃいますよ。

材料 調味料 ナス パプリカ
グリーンカレーを作るには、こんな材料を用意します。 調味料3点(上から時計回りにナンプラー、パームシュガー、カレーペースト ナスは縦に3本交互に皮をむいて、一口大に切るとキレイ。

ちなみにタイでは、ナスのアクを取らないよう。調理にも南国的なおおざっぱさを(笑)。
パプリカは細切りに。調理後に飾り付けます。しゃっきり感が食欲をそそります。

【作り方】

作り方1 1.鍋(中華鍋が便利)に、濃いココナツミルクを入れて中火でふつふつと煮立て、グリーンカレーペーストを香りだてながらかき混ぜ、溶かし入れていきます。
作り方2 2.ペーストが溶けたら肉を入れ、肉の色が変わるまで煮ます。肉が煮えたら、さらに薄いココナツミルクを加えます。
作り方2 3.鶏がらスープの素、ナス、たけのこを入れて、具が少しやわらかくなるまで4分ほど煮立てます。そして次は調味料のナンプラーと、パームシュガーを鍋の端からなすりつけるように少しずつ溶かし加えて、加減を見ながらお好みの味に調整してください(カレーが辛すぎたりココナツミルクが濃すぎると思ったら、ここで余ったココナツミルクまたは水を追加。甘味がもっと欲しかったら、パームシュガーを追加する)。
作り方2 4.こぶみかんの葉(縦半分に)とスウィートバジル(葉を)ちぎってを加え、ひと煮立てしたら出来上がりです。

ボウルのお皿に2色のパプリカとバジルの先端、パクチー、そして取っておいた濃いココナツミルクを回し入れて盛り付けると、ちょっとしたレストランっぽく、ぐっとおしゃれ&おいしそうになりますよ(トップの写真参照)。

えびのグリーンカレー ←肉の代わりにエビを使ったグリーンカレーもおいしいですよ!色合いもきれいです。器はタイで購入したもの。

【おいしく作るためのTIPS】

具について

タイ・レストランのカレー グリーンカレーの具は、肉となすが基本。これで十分おいしいのですが、他にきのこ類やさつまいもなどを入れてもおいしいです。さつまいもは意外と思われるかもしれませんが、カレーの辛さにさつまいもの甘さがけっこうしっくりきます。

タイでは。うす緑の実の丸ナス("マクアポッ"という)と、グリーンピースのような小さななすをグリーンカレーの具によく使います。輸入食材屋さんなどで見かけたら手に入れて使ってみてください。最近は国産の緑のナスもときどきもかけるようになりました。


こぶみかんバイマックル(こぶみかんの葉。右写真)は、普通の日本の八百屋さんでは売っていませんよね。入れた方が格段に風味がよくなるのですが、グリーンカレーペーストの中にすでにバイマックルが入っているので、手に入らなければ省略してください。本場っぽくしたいときは、他のもので代用しない方がよいです。

バイマックルは、タイ食材店(通販店もたくさんあります)で生葉を購入すると、たくさん手に入るので、冷凍しておくと便利ですよ。乾燥品も販売されています。

バイマックル最近は日本の園芸店でもバイマックルの苗がときどき売られるようになりました。フレッシュなバイマックルの生葉は香りも格別!グリーンカレー調理の肝ともなるものですので、頻繁に作られる方は育ててみてはいかがでしょう。わが家で育てているバイマックルの苗は、プランター植えにもかかわらず、無事に冬越しした後、2年目の夏にぐんぐん育って、今では樹木になりそうな勢いです(笑)。

ちなみに、バイマックルは食べられなくはないと思うけれど、たぶんおいしくないです(笑)。盛りつけたカレーの中に入っていたら、すみやかに除けましょう。

※上写真は都内のタイ料理店のグリーンカレーのオーソドックスな盛り付け例。パイナップルの模様を模したブルー&ホワイトのレリーフのお皿がタイっぽいですね。

グリーンカレーのペーストについて

グリーンカレーラムウォン
グリーンカレーのペーストは、メーカーによってスパイス、ハーブの調合や辛さに違いがあります。辛くなりすぎないよう量に注意してください。タイ製のペーストはけっこう辛いです。ちなみに、上のレシピでは大さじ1~3と幅をとっていますが、タイ国内のレシピでは大さじ4と断言しています(^^;)。激辛がお好みの方はチャレンジを。

私がよく使うのは、タイ製のNittayaブランドのペースト(右側写真)。大容量サイズしかなくちょっと値段が高いのですが、少なめの塩分と、フレッシュなハーブの香りが気に入っています。

ちなみに、このグリーカレーペーストの使用原料は、チリ、シャロット、ガーリック、ガランガー(タイのしょうが)、レモングラス、シュリンプペースト、バイマックル、食塩です。

また、ダイエットをされている方のために、ノンオイルで作れるタイカレーの素も販売されるようになりました。Ramwongブランドのカレーの素(左側写真)は、ノンオイルの上、ココナツミルクもすでに入っている便利な一品です。

タイではもともと、スパイスやハーブをクロックヒンと呼ばれる石臼でつぶしてカレーペーストを作ってきました。これは、どんなメーカーのペーストも敵わないほど断然フレッシュでおいしいです。もし石臼やそれに近い調理器具をお持ちでしたらチャレンジを。グリーンカレーのペーストは一から作るのがちょっと面倒なので、市販のペーストにきざんだバイマックルやレモングラスを混ぜ加えるだけでも、少しはフレッシュな香りを演出できると思います。

ココナツミルクについて

ココナツミルク東京のある女性タイ人シェフによると、ココナツミルクにはすでに油分が含まれているので、他に余分な油を使う必要はないとのこと。なるほど。そこで、彼女にならって、サラダ油でカレーペーストを熱することはせず、ココナツミルクを油代わりに使用しています。

ココナツミルクは、濃厚なココナツクリームを水で薄めて使うと経済的(ちなみにある食品メーカーでは、ココナツミルクはココナツクリームにその1/2分の水を加えたもので、両者が同容量・同価格で販売されています)。ココナツクリームには余計な添加物が加わりにくいのもよい点です。

それに、缶入りよりも紙パック入りの方が環境によさそうなので、私もなるべく紙パック入りのココナツクリームを使うようにしています。

タイ料理に欠かせないココナツミルク(クリーム)だけに、タイの料理人たちはメーカーにもこだわりがあるようです。何人かのシェフのお気に入りは、Chaokoブランドのココナツクリーム(中央写真)でした。少し高いですが、添加物を一切使用していないマレーシア産のAyamブランドのココナツクリーム(左写真)もいい味です。メーカーによって、また国によってココナツも味わいが少しずつ違うので、いろいろ食べ比べて、自分のお気に入りを見つけるのも楽しいかも。

でも本当は、生のココナツ(右写真)を煮詰めて、自家製ココナツミルクを作るのが一番、新鮮でおいしいのでしょうね。実は先日、都内某所の普通の八百屋さんでココナツの実が1つ150円ちょっとで売られているのを発見。もちろんジュースも、コプラと呼ばれるココナツの果肉(ココナツミルクの材料)もついているもので、2度おいしく?感激!いずれ、自家製ココナツミルクを作る実験でもしたいと思っています(ただし、ココナツミルク1缶でココナツ3こは必要のようですが...)。

パームシュガーについて

パームシュガー
パームシュガー(ココナツシュガー)は、ヤシの実からとった茶色っぽい砂糖。キャラメルのような豊かな風味と独特のやさしい味わいがあり、これをタイカレーに加えると、断然、コク味が違ってきます。タイでは料理やお菓子のシーズニングとして使うそうですが、単独で食べてもおいしいのです(日本でももっと広まらないかなぁ)。

パームシュガーには、ペースト(右写真)をはじめ、パウダー、固形の商品があります。お店で見つけたらぜひ使ってみてくださいね。

ごはんについて

タイ米
タイカレーに付け合せるごはんは、タイ米(特にジャスミン米とも呼ばれるタイ産のカオホンマリ。左下写真)があればベスト。お米は軽く洗って、お米と同じ分量の水で炊きます。日本のお米の場合も、同様に硬めに炊いてみてください。

チャーハンのように、茶碗にごはんを押し詰めてお皿にパッカンとするのが、タイカレーを一番おいしく食べられるごはんの盛り付け方でしょう。そして、トップの飾りにはタイらしく、ぜひパクチーの葉を(笑)。

***

以上がざっと、本場のタイカレーをおいしく作る基本です。これをもとに自己流でどんどんアレンジしてみてくださいね!(私もさらに簡単においしく作れるよう、研究を重ねていきたいと思っています)。


profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。


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