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2011年11月01日

全州・韓国フード・フェスティバル

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韓国料理が集大成したお祭り

10月20日から24日まで韓国・全州(チョンジュ)で行われた、毎年恒例のフード・フェスティバルに行ってきました。政府の肝入りで、この11月に韓国宮廷料理をユネスコ無形文化遺産への登録を目指している韓国ですが、朝鮮王朝発祥地で千年の歴史を持つ古都・全州は、中国の"食は広州"ならぬ、"食は全州にあり"ともいわれる、韓国の食の都です。

→全州の豪華な韓定食や全州ビビンバなどについては、2007年来訪時のリポートをご覧ください。

あちらでは、日本語堪能な名ガイドのヤンさん、全州の魅力を伝えるサイト「全州へ行こうよ!」の運営者でもある、韓国通の渡辺美巳さんとご一緒させていただきました。

「自然と真心、健康で代表される韓国料理は、世界の人々が注目する最高の健康食」をテーマに、「韓国料理の基本である発酵と正統派韓国料理を学び、楽しみ、味わい、理解する」という、このフード・フェスティバル。全州市内の各地で、全州名物のビビンバのお祭りや、韓国発酵食品の展示・試食会、有名料理家を招いての韓国料理教室、ドイツ・ビールのオクトーバーフェストならぬ"オクトーバー・マッコリ・フェスト"など、さまざまな食の催しが開催されていました。

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「生きている博物館」と呼ばれ、実際に人が暮らす生活感ある韓屋村で行われた、全州ビビンバ祭り。全州は、朝鮮半島の三大名菜のひとつ・ビビンバの発祥地である。ハングル、英語、中国語のほか、「世界をビビる」というキャッチフレーズがついた(笑)日本語パンフレットが配られていた。全州の韓屋村は、4年前に来訪したときに比べてずいぶんきれいに整備され、国際観光都市を目指した意欲が感じられた。

ビビンバにまつわるいろいろな催しが開催され、中にはインスタント・ビビンバ(中段写真)の展示販売も。日本にも輸出されているそうだ。下段は韓国各地のビビンバ・マップ。ビビンバにも地方色があったのですね。

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こちらは全州ワールドカップ競技場前に設置された韓国文化館と、韓国発酵食展示場。豪華な宮廷料理は残念ながら試食はできず、展示品として登場。また、韓国料理のクッキングクラスも行われ、韓国の有名料理研究家や、精進料理の和尚さん、韓流スターとしてユンソナさんらが講師として出演していた。

発酵食品展示場の方は、キムチ(漬物)や、韓国の納豆、チーズ、マッコリまで幅広く展示・試食・販売されていた。マッコリは食品扱いなのだ。ほかに世界の発酵食の展示場も。

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ドイツ・ミュンヘンのオクトーバーフェストに向こうをはった?オクトーバー・マッコリフェストも同時開催。天然岩盤水100%を使った全州のマッコリは、味がよいことで知られる(たしかに、つい、ぐびぐび飲んでしまうほど(笑)おいしかったです)。

ちなみに全州市内には、三川洞をはじめマッコリ・ストリートと呼ばれる飲食店街がいくつかあって、この地域のお店でマッコリを注文すると、およそ3本分のマッコリが入ったアルミのやかんと、バラエティなおかずが次から次へと運ばれてくる(上写真。しかもすべてお代わりが自由!)。山の幸、海の幸がそろった全州だけに、味もおいしい。料金は、何人いても、やかん1つ分のマッコリ+おかずで1万から1万5000ウォンという明朗会計。日本人から見ると驚くべき安さだ。しかも、セットではおかずはマッコリのおかわりが増えるほどおかずの種類も増えてくる。居酒屋のような気安い雰囲気で、地元感覚もたっぷり。幸せな気分になれること請け合い(笑)。


近年、世界的に有名になった日本料理を意識しているのか、先のユネスコ無形文化財登録のほか、ニューヨークに韓国式正統派レストランを開店しようとしたり(ただしこれは失敗した模様)、2017年までに韓国料理を世界五大料理に入れることを目指すなど、韓国料理の高級化に向けた国家戦略を立てている韓国政府。来年はキムチのユネスコ文化遺産登録も狙っているとか。韓国国内では全州ビビンバもキムチもマッコリもすでに無形文化財に制定されています。(韓国に触発されて?、日本料理も負けじと、京都を中心にユネスコ文化遺産登録を目指していますね)。

庶民的な料理で十分、おいしいんじゃないの?とか、韓国ドラマ「チャングムの誓い」に登場する宮廷料理はフィクションが入っていて史実よりよく見えるのでは?といった突っ込み(笑)はさておき、豊かな食材とともに医食同源の考えを持ち、ヘルシーな美食の宝庫である東アジアに生まれたよかったなぁ、などとつくづく思いながら帰国の途についたのでした。


profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。

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