2011年03月09日

シャルゼ Shalezeh|ペルシャ料理|ニューヨーク

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ミシュラン1つ星のペルシャ料理

【ニューヨーク】2008年にマンハッタンのアッパーイーストサイド(東京でいえば青山や白金台のような?高級住宅地)にオープンし、しばらく無名だったものの、2010・2011年版のミシュラン・レストランガイド・ニューヨーク版で1つ星を獲得して以来、注目されているペルシャ(イラン)料理レストラン。

聞くところによると、この店が、ミシュラン・レストランガイド史上初、唯一の1つ星を獲得したペルシャ料理レストランなのだとか。移民が多い上、国連があって、各国料理店の種類も非常に多いニューヨークでも、ミシュラン掲載レストランの中で"Persian"の文字はひときわ目立っています。

ちなみに、アメリカのミシュラン・レストランガイドでは、ロサンゼルス版が残念ながら2010年から休刊中ですが、2011年シカゴ版でメキシコ&アメリカ南西部料理店「River」が、同サンフランシスコ版でギリシャ料理店「Dio Deka」とモロッコ料理店「Aziza」がそれぞれ1つ星を獲得。フレンチやイタリアン、和食、中華、モダンアメリカン程度だったミシュランの星付きレストランの料理ジャンルも、本著の世界戦略に伴い、何気に多国籍化が進んでいるのです。

というわけで、ミシュラン・レストランガイドのニューヨーク版が出版された2005年当初には掲載もされていなかったペルシャ料理。ただし、今回、突拍子もなく登場したのではなく、よく検証すると、選ばれた理由がちゃんとあったのだなと思う部分もあります。

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前菜のナスのペースト"ババ"と、ペルシャ風パン&タヒニ(白ゴマペースト)。

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ゴルメサブジィ(サフランライス付き)と、お店の外観。外目はとてもペルシャ料理店に見えない。


たとえば、「シャルゼ」では、メニューにフムス(ひよこ豆と白ごまのペースト)やタブーリ(パセリのサラダ)、クスクスなど、ペルシャ料理以外にフランス人になじみのある地中海料理も用意。また、お店の内装はコテコテのペルシャ風ではなく、ヨーロッパ風のシックなものに。そして、ワインリストが充実していました(これがキリスト教国の人々、ひいては食とワインのマリアージュを楽しむフランス人には重要)。スパイス控えめでハーブの香りが楽しめ、マイルドな味わいのペルシャ料理は、強烈な辛さのインド料理などと違って、ワインにも意外としっくりくるのです。

※戒律の厳しいイスラム教国のイランで現在はアルコールもご法度ですが、革命前のパーレビ王朝時代にはワインを飲むことは自由だったといいます。今でもオーストラリアなど海外でペルシャ式にワインを造っているイラン系の人がいます。

もっとも、地元のアメリカ人客には賛否両論のようで、ユーザーレビューサイトのyelpによると、とてもおいしいという人もいれば、別に普通では?という人も。ロサンゼルスには全米最大のイラン人コミュニティがあるのですが(一部で「テヘランゼルス」と呼ばれるくらい(笑)、1979年のイラン・イスラム革命で逃れてきた上流階級のイラン系住民が多く暮らしており、今ではイラン系の市長も誕生しているほど)、ペルシャ料理はLAで食べた方が本格的だし、味も格別だという声には妙に納得しました。

で、「シャルゼ」への私自身の感想は、クビデ(ミンチした肉の串焼き・上写真)やキャバーブ(ケバブ)のような肉料理は、肉の柔らかさや焼き加減が絶妙で非常においしかったけれど(さすがステーキの国アメリカ!)、ゴルメサブジィ(肉と青野菜、豆の煮込み)のようなシチュー系料理は、ちょっとモッサリしていてイマイチ。東京のペルシャ料理店で食べた方が繊細な味がしておいしい、といったものでした。

ただし、料理によって3種類のライスからチョイスできるような気配り(長粒=バスモティ米を使い、サフランのほか、アーモンド、オレンジの皮、レーズンなどが入ったライスもあった)や、スマートなサービスといった付加価値は、さすが星付きレストランだなあと感心。そして、1つ星の割には値段が手ごろな点も評価したいです(夕方6時までに入店すると、お得なセットあり。またひとつ向こうの通りには、ほとんどメニューが一緒のカジュアルな姉妹店Persepolisもあります)。

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残念ながら、東京には、ここまできちんとしたペルシャ料理レストランはまだありません。でもがんばれば、ペルシャ料理でも、モロッコ料理でも、ミシュランの星付きレストランに選ばれるチャンスがあるということです。

2011年版からは、東京版のミシュラン・レストランガイドでも5000円以下のビブグルマン(コストパフォーマンスのよいおいしいお店)を紹介するページが加わったことですし...。

レストラン総数の違い(ニューヨーク約2万5000店に対し、東京は約16万店!)というハンデはありますが、各国料理レストラン経営者の方には、今はマイナーな料理と一般に思われていても、工夫次第でいつか世界に認められるかもしれないという夢をぜひ抱いてほしいものです。

参照
イラン(ペルシャ)料理について


Shalezeh
1420 3rd Avenue (bet: 80th & 81st Street) New York, NY
Tel. 212-288-0012
http://www.shalezeh.com/

■営業時間:Mon 12 pm - 11:30 pm
■定休日:-



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profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki


e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、「世界の料理レシピ・ミュージアム・ライブラリー」館長。

2000年にサイト「世界の料理 総合情報サイトe-food.jp」を立ち上げ、以後、執筆、講師、レシピ開発、在日大使館や大使公邸でのシェフなどとして、食で日本と世界を相互につなぐ社会貢献をモットーに活動。
プロフィール詳細
著作: 「しらべよう!世界の料理」全7巻 (ポプラ社 2017)


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