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2010年07月12日

アンタルカフェ8|ガーナ料理|阿佐ヶ谷

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スパイシーな「ガーナカレー」を

【阿佐ヶ谷】南アフリカで行なわれた、アフリカ大陸初のサッカーのワールドカップ。スペインが優勝が決め、熱戦の幕もついに下ろされましたが、ちょっと余韻にひたって(笑)、アフリカで唯一、ベスト8に進出する活躍を見せた国・ガーナのレストランをご紹介しましょう。

中央線の阿佐ヶ谷駅南口、線路沿いに続くこじんまりとしていい雰囲気の飲食店街を歩き、ペルシャ料理店の「ジャメージャム」を通り過ぎると、真ん中に小さな黒い星のついたガーナの国旗が見えてきます。そこが、ミュージシャンでもあるガーナ出身のオスマン・オランドゥ・ビングルさんのお店「アンタルカフェ8」。バーコーナーと合わせても12席ほどの小さな店内ですが、オープンで入りやすく、「ガーナカレー」とお店で呼んでいるスパイシーな西アフリカの煮込み料理(シチュー)の数々や、揚げ物料理、そしてたぶん日本ではここにしかないであろう珍しいガーナのお酒がズラリとそろっていて、思わず目を見張ってしまいます。

上写真はオスマンさんのおすすめ、ガーナ風サバのカレー。ヤジという、辛いけれど後味のスッキリするガーナのスパイスが効いています。付け合せはごはんではなく、ガーナの主食フーフー(キャッサバやプランテーン?料理用バナナで作った、日本のお餅のような粘り気のある食べ物)です。えっ、お餅とカレー?と思われるかもしれませんが(笑)、意外とオツな組み合わせで、あまり違和感なくおいしくいただけました。辛い料理と冷たいビールは夏の季節にぴったりですし、お値段も1皿700円?とお手頃です。

ちなみに、フーフーとシチューは現地では手で食べることが多いようです。

ガーナ料理は都内にはほかに「ママ・アフリカ」というお店が六本木ありますが、メニューのタイプがそれぞれちょっと違う感じ。現地のお酒に関しては「アンタルカフェ8」の方が充実しています。

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こちらも西アフリカでおなじみの食材であるピーナッツソースのシチュー(=カレー。左写真)。右写真は、ガーナのスパイス、ヤジを効かせたヤジ・チキン。スッキリした辛さにビールも進む(笑)。

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左写真はブラックアイドビーンズ(白豆に黒い目のような模様が入っていることから、パンダ豆ともいう)のフライ。豆をゆでてつぶし、揚げた料理(その調理過程は揚げ豆腐にちょっと似ている)。こちらもビールによく合う。ちなみにお店ではガーナ産ビール「Club」などをそろえている。

右写真はガーナのお酒の数々。やし酒(パームワイン)、蒸留酒、薬草酒などなど珍しいものばかり。

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左写真はその名も「Goal」という、ガーナのサッカー人気をうかがわせる?蒸留酒。このお酒を使ったカクテルも用意されている。

そして右写真は陽気な店主のオスマンさん。在日15年以上とのことで日本語も達者。ミュージシャンとしてライブ活動も行なっている。奥様が日本人とのことで、書道で描かれた店名の看板等、日本テイストがちらほらうかがえる。これも日本でここにしかないであろう、"本物のガーナのチョコレート"(笑)も販売中。カカオ分がたっぷりでおいしい。


オスマンさんは、代々木公園で2007年と2009年に開催された「アンタル・フェスティバル」のプロジェクトリーダーでもあります。この催しは「各国の音楽や食事などの民俗を通して、人種や文化、国境越えた人と人との距離を近づけること」を目的にしたもので、その気さくな見掛けからは想像できないほど、行動力のある方なのでしょう。店名の「アンタル」は、オスマンさんのルーツのひとつであるハウサ族の言葉で「集う」の意味で、お店は、ガーナに保育園を建設する資金のために経営されているとのことです。

ワールドカップでのガーナ代表の活躍ぶりに目を見張られた方もおられたと思いますが、日本とガーナのつながりは、ガーナチョコレートのほかに、黄熱病の研究のためにガーナに渡り、その地で世を去った野口英世(首都アクラには彼の銅像と記念碑が建っています)の縁もあります。ガーナは西アフリカ諸国の中では勤勉な国民性で知られ、オスマンさんいわく、かつて日本のテレビドラマ「おしん」がガーナで放映されて大ヒットしたこともあるとか。

ガーナは日本から遠く離れていて、文化もまったく違うけれど、どこか日本と似通った性質を持った人々が暮らす国なのかもしれませんね。

参照
ガーナ料理について


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アンタルカフェ8
東京都杉並区阿佐谷南2-20-1
Tel. 080-5534-9952
http://www.antaru.net/antaru_cafe_8/

■営業時間 Open: 18:00-24:00(休日ランチタイムあり)
■定休日 Close: 月



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profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。

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