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2009年06月17日

ピカポロンツァ|スロベニア料理|京都

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アルプスの山の恵みがいっぱい

【京都】京都市・洛西にある東欧・スロベニア料理の専門レストラン。2001年にオープンし、来日30年以上の親日家、イゴール・ライラさんがオーナーシェフとして腕を振るうお店です。

こちらは今のところ、日本唯一のスロベニア料理レストラン。お料理の方は、おおざっぱには、北イタリアっぽさ、ハンガリー、オーストリアなどのヨーロッパ内陸の東欧・中欧っぽさの混ざった肉(豚肉が多い)や、きのこなどの山菜、ハーブをたっぷり使った料理が特徴的です。また、アルプスの山岳地帯で石灰質の土壌が多い(日本でいうと信州のようなイメージでしょうか)スロベニアは、ソバ粉やソバの実を使った料理もよく知られています。いってみれば"山の恵みいっぱいのお料理"。もちろん、ソバ粉のパンやデザート(たとえばソバの実入りのギバニッツァ)が、こちらのお店でもいただけます。

そしてスロベニアは石灰質の土壌が多いほか、フランスのボルドーとほぼ同じ緯度にあることから、良質のワインの生産が盛ん。(少し古い資料ですが)約200万人いる国民一人当たりのワインの消費量が世界第7位という、知られざるワイン"大国"でもあります。イタリアと国境を接するプリモニエなどがワイン産地として知られ、前のローマ法王・故ヨハネ・パウロが誕生日に飲んでいたお気に入りワインもスロベニア産だったとか。もちろんこちらのお店でも、スロベニアのワインが各種そろっています(ガラス工芸の盛んなスロベニアでは、ワインボトルにも凝ったものがあっておもしろいですよ)。またハーブティーも各種そろっています。

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「スロベニアで生まれ育ち、京都で暮らしてきた私の感覚を通して、おいしいと感じるものだけを作ってゆきたい」とおっしゃる、イゴールさん。15人ほどの客席に対してひとりで調理をこなし、おそらく仕込みなども大変だろうなと思いますが、鹿など京都の山麓でとれたジビエを取り混ぜ、スロベニアと京都らしさを取り混ぜたよい食材で、季節の料理を真心を込めて作られているのがわかります。フロアを取り仕切るのは日本人の奥様。ご自宅の一角を改造されたアットホームな雰囲気の中、落ち着いて食事ができるのも何ともステキです。

ところで、文化都市・京都では、留学目的で来日し、日本人女性と結婚してそのまま京都に住み続け、お国料理のレストランを開店したという例が少なくないとか。それも語学留学程度ではなく、京都大学で博士号を取得するほどの"超インテリ"の方が多いよう...。

イゴールさんも何を隠そう、京大の数理生態学・博士課程出身のコンピューターの専門家。また茶山にあったアフリカ・マリ料理の店「カフェ・ル・バオバブ」(残念ながら現在は閉店)のマリ人オーナーシェフも、同大工学研究科・博士課程出身の建築の専門家とのことです。

というわけで、みなさん聡明かつ、専攻さながらに研究熱心であり、京都の各国料理レストランは、文化的な雰囲気が漂い、センス、クォリティとも粒ぞろいに優れていると思っています(もちろんすべてではないけれど)。京都はもともと古い歴史ある"お公家さん・職人の一大都市"であるので、そういった、金銭以上に品質を追求する文化が根づいているのかも。だから私も、定期的な京都のレストラン・ウォッチがどうにもやめられません(笑)。

一方、東京の各国料理レストランは、数・種類こそ多いけれど、それこそ玉石混淆。レストランに限らずすべてに関してそうかもしれませんが、それなりの質を求める(損をしたくない)お客としては、安手のガイドブックの薄っぺらな情報など鵜呑みにしないで、信頼できる口コミや自分の嗅覚(笑)を頼りにお店を厳選すべき、とつくづく感じます...。

さて、この秋には京都を含めた「ミシュラン」の関西版が発行される予定とか。もしミシュランの覆面調査員がこうした京都の各国料理店にも目を向けてくれたら、「やるじゃん!」と感心してしまうでしょうね。

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スロベニア料理について


ピカポロンツァ
京都市右京区太秦森ヶ東町29-7
Tel. 075-871-0146

■営業時間: ランチ11:30-15:00(L.O.14:00)、ディナー18:00-22:00(L.O.21:00)
■定休日:月、毎月21日

※人気店ですので、来店の際には早めの予約をおすすめします。



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profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。

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