2009年05月11日

ブルガズアダ|オスマントルコ宮廷料理|麻布十番

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洗練された宮廷トルコ料理

【麻布十番】雑誌「LEON」の元編集長・岸田一郎氏のプロデュースにより、昨年オープンした「麻布六堂」(あざぶりくどう)の中にある高級トルコ料理レストラン。

オスマントルコ宮廷のレシピを継承する世界で3軒のレストランのうちのひとつとのことで、日本の一般的なトルコ料理店とは一線を画した雰囲気です。

今回は7品のコースをお願いしてみたのですが、出てきたお料理は何とも洗練されていて、まるでフレンチやイタリアンのようでした。トルコ料理ばなれした(笑)6800円というお値段も、まあ、うなずけるというか...(めったには行けないでしょうが)。ともかく「世界三大料理」のひとつがトルコ料理と聞いて腑に落ちなかった方も、こちらのお料理をいただけば何とか納得できるのではないかと思います。

日本人の奥様をお持ちのシェフ、メフメット・ディキメンさんは、トルコ国内でも数少ないオスマン宮廷料理の継承者。以前は長野県の飯田市でお店を開いていたそうです(よく見つけて東京に招聘しましたね!)。お味の方も、よい食材を吟味しながら時間をかけて作っているという感じがしました(その仕込みのためランチは営業できないそう)。

何よりも、メイン料理が14世紀、15世紀、18世紀、19世紀と時代ごとに用意されているのが斬新で、オスマン帝国600余年の歴史を、まさに食で体感できるのがおもしろいです。

ちなみに上写真は、14世紀の「柔らかく煮込みほぐしたラムシャンクとドライフルーツのハーブロースト」。遊牧民族に欠かせない羊は、やはり宮廷でも昔から食べられていたようで...。

メニューにはアラカルトもあり、こちらはトルコピザなどおなじみのトルコ料理のメニューが並んでいます。

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前菜の数々。ハイグアリ(トマトのカップ)、ラハナドリレマス(キャベツロール)、にんじんときゅうりのヨーグルトサラダ、子羊レバーのハーブソテーなどがちょこっとずつ並ぶ。

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左写真はトルコ産レンズ豆のスープ。濃厚で香り高い逸品。左写真はイタリアのモッツァレラチーズ&トマトを思わせるようなお料理(ただしトッピングはバジルではなく、パセリ)。

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そしてメイン料理。左写真は15世紀の「乳飲み仔羊のフレンチラックグリル エーゲ海地方のハーブ"ケッキッキ"の香り」、右写真は19世紀の「マリネした柔らかヒナ鶏モモ肉と揚げ茄子のとろとろロール」。お料理は古典的でも、盛り付けはヌーベル・ターキッシュとでも呼びたくなる、モダンなスタイル。時代を経るごとに食材が豊富になり、調理法も凝ってくるのがわかる。

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デザートはムハレビという牛乳とお米とサーレップの練り菓子と、ザクロシロップのフルーツカクテル。前者はのびるアイスクリーム"ドンドルマ"の原料にもなる山蘭の根サーレップ(ただし近年は高価になり、あまり使われないとか)をぜいたくに使用。後者はイタリアやトルコでも食べられているフルーツカクテル"マチュエドニア”に似ている。

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しっとりとした自家製パンもこれまたおいしい。トルコワインだけのワインリストという徹底ぶりにも驚くが、中には何とボトル1万円以上するワインもあってさらにびっくり!

こじんまりとしたフロアはほの暗く、適度な高級感で、まさに大人の隠れ家のイメージ。この日は中東の某国の大使らと同席したのだが、周囲もトルコ人をはじめ大使館・企業風の外国人客が多かった。もちろん時間帯によって日本人客も多いのだろう。


ちなみに、タイムライフの「世界の料理 中東料理」(ハリー・G・ニクルス著)によると、オスマン帝国時代のイスタンブール・トプカプ宮殿の厨房の様子はこんな風だったようです。


トプカプ宮殿の台所は10の部分に分かれていて、それぞれスープ、パン、肉などの専門別に、大きくて清潔な厚い壁で囲まれた部屋になっていた。なかに入ると、大量のたべものをはかるための、昔の重いはかりだの、直径1メートル近くもある大がま、同じような大きなふたつき鍋などがある。これらの道具を使って約200人の料理人が、毎日3000-5000人、祭日には1万人にものぼる人びとの料理を作っていたのだ。

1640年という年の年間食品購入記録があって、これをみると、当時の料理をある程度想像することはできる。もっとも多いのは肉で1,131トン、ほうれん草は92トン、米は265トンで、小麦粉3トンをはるかに上回っている...。

これらの材料で、どんな料理が作られたかは、依然としてなぞだ。当時のメニューを見ると、スープ専門のコックだけでも、40種近いレパートリーを持っていたようだが、アラビア文字で書き残されたそれらのスープは、ほとんど名前さえ、現代のトルコ語に相当するものがない。料理のなかには、大胆さだけでもすごいものがあったに違いない。たとえば、サルタンの特別にぜいをつくした料理には、金や宝石の粉を入れたものがあったという。...


というわけで、世界三大料理の他の2国(フランス、中国)と同様に、栄華を誇った専制君主の国では、美食も発達するものなのでしょうね。

***

さて、お店の方は、あるレストラン評論家の方があちこちの雑誌で絶賛しているそうで、連日満席の日が多いとのこと。今は人手不足でてんてこまいとのことで、私たちの訪れた日は、お料理が出てくるまでに2時間以上かかりました。今回は気楽な集まりだったからよかったけれど、接待だったら冷や汗ものでした。まぁ、こんなことは稀なのしれませんが...。


ブルガズ・アダ
東京都港区麻布十番3-7-4 麻布六堂3F
Tel. 03-3769-0606
http://www.burgazada.jp/

■営業時間 Open: 18:00-翌2:00
■定休日 Close: 不定休



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profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki


e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、「世界の料理レシピ・ミュージアム・ライブラリー」館長。

2000年にサイト「世界の料理 総合情報サイトe-food.jp」を立ち上げ、以後、執筆、講師、レシピ開発、在日大使館や大使公邸でのシェフなどとして、食で日本と世界を相互につなぐ社会貢献をモットーに活動。
プロフィール詳細
著作: 「しらべよう!世界の料理」全7巻 (ポプラ社 2017)


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コメント

BURGAZ ADAです。
先日は、ご来店いただきましてありがとうございました。
またこの度、ブログにご紹介いただきまして、重ねてお礼申し上げます。

ご来店頂いた日は、特別混雑しておりまして、
特にサラダからメインディッシュまでの間をかなりお待たせしてしまったよう
記憶しております。
当日にもご指摘を頂き、深く反省をしておりました。
混雑時、お待たせしてしまうお客様には、グラスワインのサービス等
常より心がけておりましたのに、同日は、人手不足により、
その点も至らず、大変申し訳ございませんでした。

心よりお詫び申し上げます。

ご指摘頂いた点を真摯に受け止め、
早急に改善しますとともに、これを糧にサービスの向上を
図って参る所存でございます。
 
今後とも、何卒宜しくお願い申しあげます。

BURGAZ ADA スタッフ一同


  • BURGAZ ADA
  • 2009年05月19日 03:46

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