川京|郷土料理|松江
地元の旬の魚介がお手ごろ価格で
※最新来訪日:2012年11月29日
【島根・松江】以前、NHKの朝の連続ドラマ「だんだん」の舞台にもなった松江にある、家族経営のこじんまりとした郷土料理店。地元の宍道湖、日本海の新鮮な魚介を使ったお料理がお手ごろ価格でいただけます。
写真は宍道湖でとれた滋養たっぷりの大和シジミを使ったオリジナル料理の、その名も"おたすけシジミ"(シジミは特に肝臓によいそうです)。シジミの実って、東京あたりではダシ用で食べられないイメージがあるのですが、宍道湖のシジミは身もおいしくいただけるのです。
ちなみに、残った汁は取っておいてあとで雑炊にして出してくださいます(これがまたおいしい!)。
お店には、ほかにも宍道湖七珍と呼ばれる宍道湖産の魚介(季節や漁獲具合によって七珍すべてがそろわない場合もあります)や、日本海の四季の旬の魚介のメニューがズラリ。お値段も、新鮮なお魚料理ばかり6、7品のおまかせコース1人分が3700円弱と、なかなかリーズナブル(中には、30数年前からずっと値上げしていないというメニューも)。
コースは1人からでもOK。お店の方が気にかけてくださるので、女性1人でも比較的、入りやすいと思います。
まずはお通しと、日本海の松葉がに。小ぶりだが、さすが今が旬でとっても美味。
もろげ海老のから揚げと、一本釣りの魚のお刺身(盛り合わせの時もある)。後者は初めていただいた。網でとった魚のようにすり傷がないそうで、同じ魚の刺身でも格別な味わいだった。
左写真は、「川京」オリジナルの名物、鰻のたたき。これ食べたさにお店を再訪するお客さんも少なくないとか。珍しい鰻の食べ方だが、これもまた美味!紅葉の葉がお皿にさりげなく飾られていたりと、季節感を演出するお心遣いもうれしい。
そして最後は、松江名物のスズキの奉書焼き(写真は奉書を開いたところ)。昔、松江を統治していたグルメで風流なお殿様・松平不昧公に、漁民が失礼のないようにスズキを奉書に包み焼きして捧げたのが由来だという。朝獲りのスズキを使用。
お店には島根など土地の日本酒もいろいろそろっている。熱燗が実にぴったりくる。そして、お店のおかみさんやお嬢さんの温かい雰囲気、大将であるお父さんのユーモラスな口上が何とも居心地よく、リピーターになってしまいそう...(はい、現に私はリピーターになってしまいました(^^;。2012年で8度目の来訪です)。このお店のご夫婦自身も、かつてテレビドラマになったことがあるそうです。
英語、フランス語版が発売されている「ミシュランガイド」などを頼りに、おいしい和食を目的に日本に観光にやってくる外国人の方が増えたと聞きます。星付きの有名レストランを訪ねるのもいいけれど、私は単においしい和食をいただきたいなら、東京よりも、漁港に近い地方の町を訪れることをおすめしたいですね。旬の新鮮な食材(特に魚介)が日本料理の肝ですし、交通費を上乗せしてもコストパフォーマンス的に価値があると思うので。
そういえば、以前この店でフランス人のカップルと同席したことがあります。"スズキの奉書焼き"や"もろげ海老"、一本釣りのお魚の刺身などに舌鼓を打っておられましたっけ。
松江といえば、日本の素晴らしさを海外に紹介した第一人者であるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)ゆかりの地でもあります。そんな上品で、文化の魅力あふれる城下町で、さすがグルメの国フランスの旅人。お店選びもなかなかお目が高いですね!
川京
島根県松江市末次本町65
Tel. 0852-22-1312
http://www2.crosstalk.or.jp/sobido/dalian/shop/20.htm
■営業時間:18:00-22:30
■定休日:日(連休の場合は連休最終日。他に不定休で休みのことも)
※15席ほどのカウンター席だけの小さなお店で、"食べログ"で高得点になってからは連日満席のことが多いよう。出雲地方が"神在月"の11月は特に混むようです。早めの予約をおすすめします。
e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。
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いつのまに松江へ?! これならイビサ料理もすぐですね(笑)。