バンコク・食の旅行記2 ソンブーン本店
プーパッポンカレー発祥の店
【タイ・バンコク】タイを代表する美食のひとつプーパッポンカレー(日本語ではよく"カニカレー"と呼ばれる。英語では"Fried Curry Crab")は、1969年創業の中国・広東系シーフード・レストラン「ソンブーン(建興酒家)」が発祥地なのだそう。そこで、国立競技場近くにあるその本店に行ってきました。
本家プーパッポンカレーの味は、オイルがたっぷりで、味はあっさりめ。カレーが卵と中和されて甘味がやや強く、意外とスパイスは控えめでした。ハーブの香りあふれるタイ料理とはちょっと一線を画していて、やはり、もともと中華料理店から誕生した食べ物なのだなぁと実感できます。
シーフードレストランだけに、蟹はさすがに新鮮。東京ではなかなか味わえないでしょう。SからLまで蟹の大きさを選べ、大きくなるにしたがって値段が高くなります。2人でMサイズ(380バーツ=1140円)あれば、十分、至福のひとときを味わえますよ。
シーフードのメニューにはほかに、スズキ、エビなど。パッパプーン・ファイデーン(空芯菜炒め。これももともと中華系の料理だろう)やカエルのガーリック焼き、そして、鍋で供されるトムヤムクンもありました。エビのだしがたっぷりっきいたトムヤムクンはスペシャルな味わい。とてもおいしかったです。
また専属のウェイターさんが至れりつくせりのサービスで、帰りのタクシーの手配までしてくれる働きぶりにはちょっとびっくりしました。
トムヤムクン。あまり乱用したくない"絶品"という言葉を惜しげもなく使ってしまおう。プーパッポンカレーに勝るとも劣らないおいしさだった。この味を日本で再現できたらすばらしいのに...。右写真はおなじみの空芯菜炒め。あまり辛くない。
フロアの一角には、お店を訪れた各国セレブリティの写真の数々が。あら、日本のこんな人や、あんなお方も訪れていたのですね。
後日、有名タイ料理店「マンゴー・ツリー」でもプーパッポンカレーをいただいたのですが、差を感じました。「ソンブーン」の味の方がぐっと格上。ただ、観光地から外れたファイクワーン駅の近くなどには、地元のタイ人向けシーフードレストランがたくさんあり、このあたりで食べると、もっと安くておいしいのかも。次回はチャレンジしてみたいです。
ところで「ソンブーン」のお店は、スリウォンやラチャダーなどの支店を合わせて全部で5店舗あるそうですが、ほかにニセモノ店が存在するらしく、お店のサイトでは「タクシー運転手と共謀し、ソンブーンに案内すると見せかけて別の店にて多額の食事代を請求するグループの被害報告がありました」という報告とともに注意を喚起しています。バンコクでこのお店に行ってみようと思う方は気をつけてくださいね。
有名なお店なので、スリウォン店など交通の便のいい支店は観光客でごったがえしているようですが、ひっそりとした裏通りのやや意外なロケーションにある本店は、まさに隠れ家的。週末でも混んでおらず、客層も上品でした。一説によると支店とはちょっと味に差があるそうで、少しがんばっても本店に詣でてみる価値はありそうです。
バンタットーン本店 BTSナショナルスタジアム
スラヴォン 支店 BTSサラデーン
ラッチャダー 支店 MRTフェイカオン
ウドムスク 支店 スクンビット soi 103
サムヤーン 支店 MRTサムヤーン
e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。
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