2008年08月02日

アルメニア料理教室・リポート

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現地出身の先生によるクラス

【渋谷区神泉】7月19日に「Assiette de Kinu(アシェット ド キヌ)」で開催されたアルメニア料理のクラスにうかがってきました。

講師は、アルメニア出身の女性メラニア・バグダサリアンさん。紀元前1世紀頃に国を築き、紀元301年に世界初のキリスト教国家となった古い歴史と独自の文化を持つ、※コーカサス(カフカス)地方の国・アルメニアは見どころも多い国ですが、日本では残念ながら知名度はそれほど高くなく、情報があまり入ってこないことを残念に思っていました。

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そんなわけで、今回、日本アルメニア友好協会さんより紹介いただいた、アルメニアのお料理を、アルメニア出身の先生から直接、習えるこのチャンスに心躍らせた次第です。

こちらのアルメニア料理教室は不定期に開催されているようですが、今回のメニューは以下の通りでした。

・マツナブルトシュ(冷たいヨーグルトスープ)
・チキン・アララト(アルメニア風のチキンソテー)
・ブルグル(挽き割り小麦)のピラフ
・くるみ入り団子(デザート)

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左から、マツナブルトシュ(Madzoon Abour)は、トルコや中東諸国、ギリシャやブルガリアの料理メニューにもよく登場する、きゅうりとディルなどのハーブを使ったヨーグルトのスープ。国によってジャジキ、タラトゥル…と呼び名は違うが、夏にぴったりのさわやかなスープだ。メラニア先生のレシピでは、きゅうりを荒めに切るのが特徴的だった。

中央はメイン。まずはチキン・アララト。マッシュルームソースを添えた鶏肉料理で、バターをたっぷり使う。アララトとは「ノアの方舟」で有名なアララト山のことだろうか。アララト山は、トルコやロシアの過酷な支配を受けてきたアルメニア民族にとっての象徴的な存在とのことで、質の良さで知られるアルメニア産ブランデー(アルマニャック)にもその名が冠されている。

メインに添えられているのは、ブルグル(挽き割り小麦)のピラフ。ブルグルは、トルコやギリシャ、東地中海諸国でもよく使われる、クスクスに似た食材。ビタミン、ミネラルがたっぷりと含まれ、調理も簡単なので、たまの主食代わりに重宝しそう。

右はデザートの、細かく砕いたくるみと砂糖を包んだ小麦粉のダンプリングをオーブンで焼いた、アルメニアの素朴なお菓子。


初めての参加ですから、これだけではとてもアルメニア食文化をうかがえないと思うけれど、アルメニア料理の大まかな特徴は以下のような感じでしょうか。

つまり、酪農が盛んなコーカサス(カフカス)の国らしく、料理に乳製品、特にバターを多用すること。また、カスピ海と黒海の間にあって海に面していないのでシーフード料理はないが、肥沃な盆地を擁しているため古くから農業が盛んで、野菜や果物、肉(アルメニアはキリスト教国なので豚肉も禁忌ではない)とその加工品、小麦、ナッツ類など食材が豊かなこと、です。

また、別の機会にいただいたぶどうの葉のピラフ包みトルマは、今ではトルコやギリシャなど地中海諸国のメゼ(前菜)の一品として有名ですが、発祥はアルメニアだともいわれるそうで、歴史のある国だけに、アルメニア由来の料理は意外と多いのかもしれませんね。

メラニア先生によると、「アルメニアでは、春・夏には季節の野菜やハーブをたっぷりと料理に使い、冬には夏の間に作った保存食や豆を食べる」のだそう。また、アルメニアではワインの生産が昔から盛んだったのだけれど、ソ連時代にロシア人によってぶどう畑をつぶされてしまい、ワインの生産が少なくなってしまったとのこと。アルメニアの歩んだ過酷な侵略の歴史が、国家独立を果たした今も尾を引いているのかもしれません。

さて、料理教室の方は定員6名と少人数。メラニア先生とアシスタント役の尾田先生によるデモンストレーション・スタイルで、レシピにメモを取りながら、もちろん、最後に出来上がった料理を試食できます(希望者にはワイン1杯付き)。受講料は、入会金等不要で1回ごとに5500円(3回で15000円。内容によって価格が違うようです)。比較的、気軽に参加でき、時には手を動かして調理を手伝いながら、和気あいあいとじっくりお料理を習えたのがよかったです。

コーカサス(カフカス)地方:黒海とカスピ海に挟まれたカフカース山脈と、それを取り囲む低地からなる面積約44万km?の地域。北カフカスは現在、ロシア共和国の一部(チェチェンなど、一部で独立紛争が起こっている)。南カフカスは、ソ連解体とともに独立したアルメニアとグルジア、アゼルバイジャンの3国。酪農の盛んな地域で、特にグルジアはケフィアヨーグルト(カスピ海ヨーグルト)の故郷であり、長寿の国として有名。

参照
アルメニア料理について


profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki


e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、「世界の料理レシピ・ミュージアム・ライブラリー」館長。

2000年にサイト「世界の料理 総合情報サイトe-food.jp」を立ち上げ、以後、執筆、講師、レシピ開発、在日大使館や大使公邸でのシェフなどとして、食で日本と世界を相互につなぐ社会貢献をモットーに活動。
プロフィール詳細
著作: 「しらべよう!世界の料理」全7巻 (ポプラ社 2017)


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