2008年07月09日

トライブス|アフリカ料理|飯田橋

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南アフリカ名物のソーセージが登場

【飯田橋】神楽坂の路地を入った突き当たりにある、こじんまりとしたアフリカ料理レストラン&バー。

新メニューに「南アフリカ政府のお墨付き」という南アフリカ名物のソーセージ・ブルボスが加わったと聞き、さっそくうかがいました。

現地ではバーベキューの定番だというブルボス(boerewors。正確な現地語の発音が難しく、"ブーラヴォース"にも近い)は、もともとアフリカーンス(17世紀から南アフリカにやってきた主にオランダ系住民)の人々の食べ物。アフリカーンスはボーア人とも呼ばれ、その語源は、オランダ語で"農夫、農場主"から由来するといわれます。boereworsの綴りでお察しかもしれませんが、ブルボスの直訳は"農夫のソーセージ"。ドイツ、ベルギーに接したオランダのリンブルグ州でも、このソーセージがポピュラーだといいます。

コリアンダーシードなどのスパイスを肉に混ぜ込んだ野趣あふれるソーセージは、いかにもアフリカの大地で食すのにふさわしそうなのですが、これに甘辛いカレーソースをかけると、さらに多民族国家・南アフリカの料理らしくなります。このカレーソースはおそらく、かつて南アフリカがオランダの植民地だった頃、オランダの他の植民地から労働者として駆り出されたインドネシア=マレー人、もしくはオランダ系がイギリス人に植民地を奪われたあとにインド系の労働者がもたらして、月日を重ねた末の文化の結晶でしょう。

ちなみに、南アフリカのもうひとつのポピュラーな料理ボボティーにも、同様なカレーソースが使われていましたっけ。

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左写真は、「トライブス」定番の前菜・エビのマンゴーソースかけ。ちょっとアジア風(アフリカにはサモサをはじめ、アジア由来の料理が浸透している)の、マンゴーソースの甘酸っぱさがクセになるおいしさ。右写真は、西アフリカのフーフー(白い塊)とオクラシチュー。本来はもっと大きなボウルに盛られ、真っ赤なパームオイルがギトギトに使われていそうな料理なのだが、こちらでは小ぶりな盛り付けの前菜仕立てで、何とも上品に。フーフーはつきたてのおもちみたいで、日本人には親近感がある。これならアフリカ料理が初めての人にも薦められそう...。

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左写真は、アフリカの焼き鳥とでもいえそうな、タンザニア風ムシカキ(肉はマトン、牛肉)。ほどよくスパイシーで、ビールのすすむ一品。右写真は、これも定番料理のクスクス。フレンチのように洗練された盛り付けと、ブイヤベース仕立てのソースが美味。

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アフリカのビール、ワインいろいろ(左からナイジェリア、ガーナ、ケニア、南アフリカ)。アフリカの夕日をイメージしたという照明を背景にしたバーカウンターには、ほかにウガンダやタンザニア、エリトリアなど、珍しいアフリカのお酒コレクションがズラリと並ぶ。「五感を通してアフリカの素晴らしさを感じていただくのが私たちの喜び」というポリシーのもと、フロアの各所に置かれたアフリカ製の民芸品や、アフリカ音楽のBGM、ビデオもムード満点。自然とアフリカ好きな人々のたまり場になるのだろう。


さて、このスパイシーなソーセージには、南アフリカのシラーズやピノタージュといったぶどう品種の濃い赤ワインとよく合います。このあたりに根付いたヨーロッパ感覚が、他のアフリカ諸国とは違うところですね。そして、こんなエキゾチックな食とワインのマリアージュもありなのだなぁ、と改めて思ったりしました。

もちろんお店には、ブルボスのほかにも、アフリカ全土の料理がそろっています。メニュー数は多くないけれど、味覚の落としどころをちゃんと掴んでいる感じ。アフリカ料理というと、いまだにキリンの輪切り肉とかゾウの燻製が出るんじゃないの?と勘違いしている人がいるようなのですが(笑)、そういったハードな?料理は一切なく、初心者にもおいしく、食べやすいはずです。

たとえばフレンチのように洗練されたブイヤベース仕立てのソースが絶妙なモロッコのクスクス、焼き鳥感覚で食べられる、ほどよいスパイスのタンザニア風ムシカキ(串焼き肉)などなど...。

日本人に食べやすくアレンジした料理と聞くと、「え、現地の味で食べたいのに...」とつい思いがちな私でも、なぜかこちらの料理には抵抗がないのです。というのは、オリジナルのイメージを崩さない心遣いがなされているから。これもひとえに、オーナーである石川さんのアフリカへの知識と愛情、そして熱意の賜物なのでしょう。

現に、アフリカ大使の方々がこちらでお食事しているのを見かけたことがあります。現地人にも愛されてしまうなんて、なかなかあっぱれですね!


トライブス
新宿区若宮町10-7
Tel. 03-3235-9966
http://www.tribes.jp/

■営業時間 : 18:00-24:00 (L.O. 23:00)
■定休日 : 日・祝

http://www.tribes.jp/toiawase/form.html?PHPSESSID=62ba1d4cad72514069f905760a6d151a



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profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki


e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、「世界の料理レシピ・ミュージアム・ライブラリー」館長。

2000年にサイト「世界の料理 総合情報サイトe-food.jp」を立ち上げ、以後、執筆、講師、レシピ開発、在日大使館や大使公邸でのシェフなどとして、食で日本と世界を相互につなぐ社会貢献をモットーに活動。
プロフィール詳細
著作: 「しらべよう!世界の料理」全7巻 (ポプラ社 2017)


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