2008年03月27日

クチーナ・チロレーゼ 三輪亭|豪徳寺|南チロル料理

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チーズ&肉が特徴的な”アルプスの料理”

【豪徳寺】北イタリアのトレンティーノ=アルト・アディジェ州(南チロル)の郷土料理を提供するレストラン。南チロルを修行先に選び、その食文化に魅せられた三輪シェフの愛情とこだわりのあふれるお店です。

”チロル”と聞いて思い出すのは、チロルチョコにチロリアンテープ…。緑あふれるアルプスの丘陵に山小屋、牛や羊がのどかに草を食み、楽しげなヨーデルの歌声が響きわたる「アルプスの少女ハイジ」の世界を思い出しますね。

オーストリアと国境を接する南チロルは、第1次世界大戦前まではオーストリア領だったので、イタリア語よりもドイツ語が通じ、住民もドイツのゲルマン系という、イタリアの中でも異色のエリア。

料理も、オーストリアやスイスのアルプス地方と共通してチーズや肉料理がメインなのですが、同じ料理でもゲルマン的な大らかな素朴さに比べて、どこかイタリアらしい繊細な味わいが加わっているのが特徴的です。

たとえば、三輪シェフのこだわりが発揮された「南チロル・ディナーコース」の前菜(上写真)では、何と7種類すべてが肉料理。イタリア風に美しく盛り付けられた牛肉、鹿肉(エゾ鹿)、豚肉…とさまざまな肉は、スモークしたり、野菜と和えたりと工夫されていて、飽きがきません。

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メインは数種から選べる。左写真は、代表的な南チロル料理というティロラーグロステル。じゃがいもと肉を鍋で煮て、たまごをトッピングした、日本人にもどこか懐かしい”おばあちゃんの素朴な味”。

右写真は「蝦夷鹿のロースト 森のフルーツソース」。イタリアっぽい洗練された盛り付けなのに、料理自体はあまりイタリアっぽくないのが不思議。ベリーソースの甘さがミディアムレアで焼いた鹿肉によく合う。

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南チロルではニョッキがよく食べられているという。左写真はお団子のようなカネーデルリ。右写真は南ドイツのシュペッツェレのような小麦粉の料理。チーズをからめたパスタに鹿肉のラグーソースをかけたもので、ドイツで食べるよりも繊細な印象。

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左写真は、自家製のパン。南チロルのライ麦パンシュッテルブロットにはクミンシードが入っている。かつてヴェネチアを通じて中東やインドからハプスブルク家のウィーンに輸入された道筋に位置する、スパイスロードの名残りだろう。意外なところにエキゾチックな食文化の歴史が見え隠れしていて、興味が尽きない。

右写真はデザートの盛り合わせ。マスカルポーネのアイスクリームに、アップルシュトゥーデル...。イタリアとオーストリアのいいところどり!

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左写真は、日本初登場の南チロルのビール"PORST"。ドイツビールの技術が活かされている。右写真は南チロルの赤ワイン。イタリア風の濃厚な甘口で、料理によく合う。ドリンクも、イタリアとオーストリアのいいところどりなのだ。

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お店のマークは、”チロルの鷲”と呼ばれるアルト・アディジェの紅い鷲の紋章。小皿にもこのチロルの鷹があしらわれている。山小屋のような木の調度品に囲まれたフロアや、ヨーデルのBGM、アルトアディジェでよく見かけるという、紅い鷲のついた青いエプロンを着用したスタッフが、チロルらしい雰囲気をさらに盛り上げる。


あっさりしていて、脂ぎった感じのまったくない肉料理は、日本人にも食べやすいはず(事実、お店には、南チロル料理を求める老夫婦の常連さんもいらしゃるそうです)。農耕地の乏しい山岳地方で「肉をいかにおいしく食べるか」が長い歴史の間に研究された、土地の人々による賜物のような料理といえましょう。

そして、チーズ。芳醇で濃厚な味わいのMIWAチーズは、三輪シェフの修行先のレストラン「Pichler」のオーナーシェフによるオリジナルで、もちろんこちらのお店でしか味わえません。

「南チロル料理はまだまだ日本ではマイナーなので、一般のお客さん向けに一般的なイタリア料理もお出ししているが、自分としては南チロル料理にこだわって、その魅力を多くの人に知ってもらいたい」と語る三輪シェフ。それは、チーズや料理はもちろん、南チロルを中心にしたワインリストや、日本初輸入の南チロル産ビールを紹介したりといった熱意にも表れています。

私も、そんな本物志向で個性的なワン&オンリーのレストランを微力ながら応援していきたいです。

お店は、雑誌「Dancyu」に紹介されたばかり。3月31日までは、創業1周年記念として、スペシャルチロルパスタランチ(¥2200)と、チロル料理が満載の特別ディナーコース(3900円。通常は6000円)を提供しており、好評な場合はその後も続けるそうです。


クチーナ・チロレーゼ 三輪亭 Cucina Tirolese Miwatei
世田谷区豪徳寺1-13-15 ツノダ第1ビル1F
Tel. 03-3428-0522
http://pws.prserv.net/miwatei/

■営業時間 Open: 11:30-14:00(L.O.)、18:00-21:30(L.O.)23:00
■定休日 Close: 水



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profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki


e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、「世界の料理レシピ・ミュージアム・ライブラリー」館長。

2000年にサイト「世界の料理 総合情報サイトe-food.jp」を立ち上げ、以後、執筆、講師、レシピ開発、在日大使館や大使公邸でのシェフなどとして、食で日本と世界を相互につなぐ社会貢献をモットーに活動。
プロフィール詳細
著作: 「しらべよう!世界の料理」全7巻 (ポプラ社 2017)


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