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2007年06月21日

フィリップ・アルディ?フードフランス|ノルマンディー料理

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フードフランス2007の第二弾

【表参道】アラン・デュカスのビストロ「ブノワ・東京」で開催されている、フランスの若手シェフを紹介するシリーズフードフランス 2007の一環で開催された、ノルマンディーのオーベルジュ「ル・マスカレ」のシェフ・フィリップ・アルディ氏のフェア(ランチ)に出かけてきました。

フランスの北西部、ブルターニュに隣接したノルマンディーといえば、世界遺産に制定されている小島に浮かぶ修道院モン・サン=ミシェルや、映画「シェルブールの雨傘」の舞台になった軍港シェルブール、また「睡蓮」をはじめ、印象派の画家クロード・モネの描いた名画の舞台として有名ですね。またノルマンディーは、公国を建ててイギリスに攻め込んだかと思えば、イギリスに接収されて、またフランスに戻されたり、映画「史上最大の作戦」でも描かれた、第二次世界大戦の連合軍の上陸作戦の舞台になったりと、なかなか波乱に富んだ歴史を持っています。

ノルマン(語源はNorth Man=北の人)の名前の通り、北欧ゲルマン系民族の末裔の土地。歴史の教科書にも登場するゲルマン民族の大移動(バイキングとして海からたどり着いたという説も)でフランス北部へやってきた後、フランス国王より封土を受けて現在の地に住みついた経緯があります。そのため、ノルマンディーには今も北欧系の金髪にブルーの瞳の人が多いのだそうです。

さて、前置きが長くなりました。そんなノルマンディーには、海に面した土地柄から、魚介の料理や、塩分を含んだ海辺の牧草を食べて育ったことから独特な味わいのある仔羊の肉、またブルターニュと同様りんごの産地であることから、りんごのお酒シードルやカルヴァドス、りんごを使ったソースやデザートが多いといいます。まさに金髪にブルーの瞳をした、ノルマンディー生まれのアルディさんが作る料理は、そんなノルマンディーの郷土料理に、各地を修行して会得した、素朴さにインターナショナルなモダンさが加わったお料理でした。

"ル・マスカレ 潮津波"と題されたコース。トップの写真は、肉料理のメイン「仔羊のポワレ シードルとコーヒー オレンジ風味のキャロットコンフィ」です。ノルマンディーらしい素材を使い、ゴロゴロとしたにんじんがまるで田舎料理のようでありながら、味付けは洗練されている...。う?ん、なかなかおもしろかったです。

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アペリティフのシャンパン(ローランペリエ)、日本の土瓶で注がれる「海のコンソメ 抹茶とサフラン」に続き、ノルマンディー風のくるみのパテ、野菜のピクルス、そして、なんと新聞に包んだひまわりなどの種のおつまみが登場(笑)。アルディさんがお国から持ってこられたものだろうか。意外な食事の幕開けにワクワク。

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魚料理に合うレモン風味のパンなどの盛り合わせと、前菜の「ズワイガニと花のカネロニ」。お花は食べられる。パンに添えられたオイルは、オリーブオイルではなく、ノルマンディー流という、ハーブ入りのなたね油だった。

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ちょっと和食を意識したかのような魚料理のメイン「スズキのグリエ カニのジュ きぬさや」と、デザートの「クリスピーなヴェールに覆われたリンゴ 農家製生クリーム アカシアの蜂蜜」。たっぷりと提供される、素朴なりんごのパイがいい感じ。

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ラストは、コーヒーとともに、ミニヤルディーズ(下写真)。アペリティフのシャンパンを含めてこれで8400円(税・サ込み)。ディナーは15,750円 。別注文でノルマンディー名産のシードルやカルヴァドスも。

右はノルマンディーの位置を示す地図。切り立った断崖。冬場には風が吹きすさび、海が激しく荒れることも多いという。イギリスとフランスにはさまれたイギリス海峡に面し、波乱の歴史をたどってきた。


食事の後に、ブルガリア修行時代に知り合ったという美しい奥様ナディアさんがテーブルを廻られていました。アルディさんにも少しお話をうかがったのですが、料理と同様に、素朴で温かいお人柄がしのばれるような方でした。

お二人が切り盛りするオーベルジュ「ル・マスカレ」は今年オープンしたばかり。宿泊料(100ユーロ?)もレストランの食事(65ユーロ?)もなかなかお手頃価格のようで、もしノルマンディーに旅する機会があれば、私もぜひ訪ねてみたいなあと思っています。

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「ブノワ」のフロア。まさに高級ビストロと呼びたい、気取りないながらも、おしゃれな雰囲気。


ブノワ・東京
渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山 10F
Tel. 03-5468-0881
http://www.benoit-tokyo.com/

■営業時間:ランチ 11:30-14:30(LO)
        カフェ ブノワ 11:30 - 22:00pm(LO)
        ディナー 17:30 - 22:00(LO)
■定休日:無休



profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。

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あぁ、美味しそう♪

先日、真鍋さんが主催する中華を食べるイベントに行ってきました☆ここでも、Yuricoさんの話題が出ていましたよ。
また、Yuricoさんの料理イベントにも参加させてくださいね。

  • ゆかりん
  • 2007年06月25日 15:25

ゆり子さん
私も行きたかったです。でもメインが羊!それはちょっと...。
あと4回ありそうだから、もしいらっしゃるなら、教えて下さい。

  • RAICHI
  • 2007年06月21日 15:31


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