グリーングラス|パレスチナ料理|西川口
[ パレスチナ料理 ]
パレスチナ人シェフによる料理
※現在は業態転換しています。
※閉店しました。
※最新再訪日:2009年12月14日。新店舗について追記。
【埼玉・西川口】パレスチナ人シェフ、イヤッド・マンスールさんとその弟さんによる、日本で唯一の東地中海・パレスチナ地方テイストの中東料理(アラブ料理)がいただけるレストラン。
お店は、京浜東北線・西川口駅から徒歩約3分ほどのところにあります。2009年4月に以前の店舗から、もっと広い近所の店舗に移転。また以前はトルコ料理レストランと銘打っていたところが、現在はパレスチナ料理を全面に打ち出すようになりました。
今も「日本人客にわかりやすくするために」トルコ料理の名称が付随していますが、メニューは、トルコ料理とは、似ていてもちょっと違ったものです。
たとえば上写真のひよこ豆のペースト・ホンムス(フムス)。ピタパンにはさんで食べるのはトルコと同じですが、パレスチナ・バージョンは、ペーストの上にすでに焼いた肉(ケバブ)がトッピングされていました。
オリーブオイルをたっぷりと使いながらも、意外とサッパリ味。どんどん食が進みます。
「左写真は、メゼ(前菜)のなすのペースト(ババガヌーシュ)とピリ辛トマト。ババガヌーシュの美しいグリーンは、ペースト状にしたパセリの色。これもトルコやレバノン料理と違う、特徴のある点。さわやかで、とてもおいしい。ピタパンに包んで食べる。
右写真は、ぶどうの葉で包んだピラフ。トルコなどでもおなじみの料理だが、ごはんがさっぱり味だった。
「左写真は、チキンと羊のケバブの盛り合わせ。右写真は、シュワルマ(ドネルケバブ)。こちらもトルコや中東でおなじみの料理。
「左写真は、ごはんの上にモロヘイヤのシチューをかけた、いかにも中東風の料理。ほかマンサフ(アラブ風ピラフ)、モロヘイヤスープ、ムサハナ(アラブ風ローストチキン)といった中東料理以外に、"パレスチナ風エビチリ"(笑)など、日本人向けの創作メニューが用意されていた。右写真は、新店舗の外観。内部はバーのようなカジュアルな雰囲気。パレスチナの国旗やポスター、地図も飾られている。
「パレスチナを知っている人が少ないからトルコ料理と称しているけれど、実際のメニューはパレスチナの料理」と語るイヤッドさん。なぜか、スコットランドの国旗も飾られ、ケルト音楽がBGMだったり...。2008年3月放映の「出没!アド街ック天国」(テレビ東京)でも紹介された。
パレスチナ・ヨルダン川西岸のビッドゥ村出身のイヤッドさんは、13歳の時からプロとしてケバブを焼いていた筋金入り。長年の間に培われた料理センスが光ります。店名の「グリーングラス」は、イスラエルに出て初めて働いたレストランの名前から取ったものだとか。その後フランスなどを経て、22歳のときに来日してから在日19年以上とのことで、日本語も達者でした。
「今では頭の中はすっかり日本人」とは本人談(笑)。料理の味以外でも、商売熱心でお話好きなところが、飲食業で成功している秘訣かもしれません。"熱く語る人"という印象。この日のお客さんも、地元の家族連れなど常連さんが多いようでした。
ところで西川口の駅前は、以前は「品のないラスベガス」とでもいうか(苦笑)、風俗店やパチンコ店が立ち並ぶ猥雑な雰囲気のするエリアでした。しかし、最近は浄化運動が進んで、ずいぶん安全な街になったようです。ケバブ屋台の時代からずっと西川口で飲食店を営んできたイヤッドさんも、浄化のことを強調されており、この街に愛着を持っている気持ちが伝わってきました。
また、川口市内を歩いていると、タイなどの食材店や(主にインドやタイなどアジア系の)各国レストランが発見できたり、海外旅行好きには(?)魅力にこと欠かない場所でもあるよう。2007年には地元の出版社「ぶなのもり」より小冊子「川口界隈おいしいエスニックガイド」も発売されました。
e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。
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Emyさん、コメントをありがとうございます。なるほどですね!
ちなみに日本にあるイスラエル料理レストランでは、シュニッツェルやグラーシュ、クスクスといった、ドイツやオーストリア、東欧、北アフリカからイスラエルに渡ったユダヤ系移民が伝えたとおぼしき料理を、イスラエル料理として出しているお店もあります。
反面、こちら「グリーングラス」には、シュニッツェル(=カツレツ)に該当するようなメニューもありました。シュニッツェルはもともとアラブになかったであろう料理(北イタリア経由のウィーンが起源といわれます)。おいしい食べ物は文化の壁を越えるのですね。
今イスラエル料理と称するものは、要はもともとイスラエル国が出来る前までのあの地域の料理なんでしょう。
イスラエルの文化と称するものも、結局はパレスチナ人と共存していたユダヤ教徒のつくったもので、移民が大部分を占める今のイスラエル人がつくったというよりも、パレスチナ人がつくったものといった方が正しいことになります。
なので、パレスチナ料理とは、古くからの本物のイスラエル料理と言っても良いと思います。
キム小僧さん、コメントをありがとうございます。
パレスチナの土地は、宗教、政治、民族...と歴史的経緯がからんで複雑なことになっていますね。アラビア半島北部・東地中海の地域に古くから住んでいたアラブ系の人々=パレスチナ人の料理、と定義すればよいのでしょうか。
パレスチナ料理とは?パレスチナ難民とかよく表現されますがその人達の料理なんでしょうかね?
まだ平和なころイスラエル,イラン,ヨルダンなど旅行したけどパレスチナ料理と称する料理にはあわなかったなあ...