2006年11月08日

古代エジプトのビール「ホワイトナイル」

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古代のロマンあふれる商品

古代エジプトのエンマー小麦を使って、京大、早稲田大、黄桜(本社・京都・伏見)の共同開発したビール「ホワイトナイル」が、京都で売れ行き好調のようです。以下は、京都新聞の記事より。

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京都大は6日、早稲田大、黄桜と共同開発し、今年4月から販売しているビール「ホワイトナイル」の販売本数が、9月までの上半期で年間販売目標(3万本)を大きく上回る4万4177本に達した、と発表した。

ホワイトナイルは、エンマー小麦で作られた古代エジプトのアルコール飲料を基に、現代的なビールとして開発した。今年はエンマー小麦の近縁種で製造し、京大生協や京大会館などのレストラン、京都と東京の黄桜直営店などで販売している。

詳しくは
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061107-00000004-kyt-l26

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このビールが作られたきっかけは、エジプト考古学者の吉村作治・早大教授が2004年に古代エジプトのビールを復元した際、エジプトで醸造に使われていたエンマー小麦を、京大栽培植物起源学研究室が提供したのが縁だったそうです。

世界のビールの発祥地のひとつといわれる古代エジプトのビールの研究・実験は、キリンビールが吉村教授をを交えて20年以上も前から手がけてきたとのことですが、商品化は黄桜に先を越されてしまいましたか...。

先日、たまたま横浜・生麦にあるキリン横浜ビアビレッジで行なわれている"ビール造り体験"に参加しまして、醸造の専門家に古代エジプト・ビールについてうかがってきました。

「パンをお湯の入った大型の壺に入れ、封をして数日間放っておくとビールになった」という、興味深い古代のビール製法。しかしながら、「実験はおもしろいが、売れるビールとして商品化するには、まだまだ課題がある」。現場の実情はそんなところのようでした。

全国展開している大ビール会社にとって、古代エジプト・ビールは、まだまだニッチなマーケットなのかもしれませんね。その一方、天下の文化都市・京都で商品化が実現したのは、うなずける話であります。


profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。

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