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2006年06月19日

ブレク -レシピ|セルビア料理

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バルカン半島のパイ風料理

先日、分離独立が可決されたセルビア・モンテネグロ。とはいっても、両国の料理にはいずれも、東欧のバルカン半島にある他の国の料理と同じく、トルコやギリシャの影響がうかがえるようです。

この"ブレク"も、トルコやギリシャの料理やお菓子によく使われるフィロシート(パートフィロ。薄い小麦粉の皮のシート)を使った、セルビア・モンテネグロや旧ユーゴの周辺国でポピュラーな軽食。具の種類はいろいろありますが、今回は、チーズを使った、シンプルなブレクのレシピをご紹介しますね。

チーズ・ブレク レシピ Burek sa Sirom

【材料】
フェタチーズ(トルコやギリシャの白チーズ。なければカッテージチーズで代用)200g、クリームチーズ120g、卵1個、フィロシート(冷凍品。事前に解凍しておく)、溶かしバター

【作り方】
1.ボールに卵を割り入れてほぐし、フェタチーズとカッテージチーズを入れて混ぜ合わせる。

1.耐熱容器を用意し、フィロシート4枚を(大きければ)だいたいその底面の大きさに合わせてカットする。

2.耐熱容器にフィロシートを2枚重ねて敷き、その上に1の具を広げる。

3.2の上に残りのフィロシート2枚を置き、上表面にハケで溶かしバターを塗る。

4.オーブンを190度に予熱し、3を表面がきつね色になるまで25-30分ほど焼く。

5.4をオーブンから取り出し、適当な大きさにカットして出来上がり。

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ダイエットされている方は、カッテージチーズを使い、カッテージとクリームチーズの比率を、前者を多くして変えてみてください。フィロシート自体に脂肪分はありません。

ブレクには、地域によってさまざまなバリエーションがあるようですが、以上は、セルビア・モンテネグロ大使館のサイトに掲載されたブレクの写真を参考に、お皿に盛ってみました。

また、重ねるフィロシートの数は、お好みで2枚より多くてもよいようです。パイ風のサックリ、パリパリ感が楽しめます。

で、このフィロシート。日本の食材店ではほとんど見かけないのですが、オーブン料理や焼き菓子のレパートリーが広がる、なかなか便利な一品なんです。質感は、春巻きを薄くしたような感じ、でしょうか。輸入食材店で冷凍品が手に入りますので、お料理好きな方は、1本常備しておくとよいかも(品質保持期限は1年くらい)。

フィロシートがあると、小麦粉を延ばして一から作ると面倒な、東地中海沿岸のパイ風お菓子"バクラヴァ"や、ギリシャのフェタチーズのパイなども、ラクに作れちゃいますよ。

参照:
トゥライさんによるバクラヴァのレシピ

ギリシャ食材店「ノスティミア」さんによるフェタとほうれん草のパイのレシピ

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ちなみに、今回、使用したフィロシートはオーストラリアのAntoniou社製(輸入元はマンドス・ジャパン)で、375グラム入りが500円強(分量はけっこう入っています。低コレステロールで保存料不使用とのこと)。麻布の日進ワールドデリカテッセンで購入しました。

なぜ、オーストラリアでフィロ?といえば、オーストラリアにはギリシャ移民が多いから。ギリシャ製のフィロシートを日本で買うと1000円くらいしますので、オーストラリア製でよいと思います。

フィロシートが手に入らない場合は、春巻きの皮で代用もありかと。ただしこの場合、重ねる皮は1枚で十分でしょう。

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さて、ではセルビア・モンテネグロのドリンクといえば?ニューヨークのボスニア料理店の方から聞いたところによると、バルカン半島の旧ユーゴ諸国では、トロリとした果実飲料ネクターがよく飲まれているそうです(ネクターはギリシャ語で"神々の飲料"の意味)。

瓶入りのネクターが各国で販売されていたり、レストランのメニューに載せられていたりします(上左写真。左側はピーチとオレンジ、りんごをミックスしたボスニア・ヘルツェゴビナ製、右側はブルーのガラスがきれいなアプリコットのスロベニア製)。

また、モンテネグロは、2000年におよぶ歴史を持つワインの特産地であり、現在はシャルドネ、メルロー、カベルネソーヴィニヨンなど、フランスでポピュラーなぶどうのワインも造られています(上右写真。英語のラベルが貼られた、おそらく輸出用のPlantaze社製)。モンテネグロのワインは、かつて、かの豪華客船タイタニック号にも高級品としてワインリストに名を連ねていたそうですから、品質は悪くありません。

ただ残念ながら、モンテネグロのワインは、今のところ日本未輸入のようです。


profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。

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