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2006年02月26日

ルイ・キャーンズ|ベージュ東京 -BEIGE TOKYO

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モナコの3つ星シェフが来日

【銀座】モナコにあるアラン・デュカスの3つ星レストラン「ルイ・キャーンズ Le Louis XV」のシェフ、フランク・チェルッティ氏が、2月26日までデュカスとシャネルのコラボ・レストラン「BEIGE TOKYO」に初来日。期間中、モナコのお店のメニューが特別に用意されました。

デュカスのお店は他にもあれど、「ルイ・キャーンズ」は、1990年にデュカスが、33歳という史上最年少の若さでミシュランの3つ星を取った、彼にとって記念すべきレストラン(そして、現在はチェルッティ氏がシェフを受け継いでいる)。地中海の料理は、デュカス氏の原点のような料理なのです。そういう面で興味があり、かつ、モナコならではの料理も気になる...。というわけで、期待に胸をふくらませて、土曜日のランチに出掛けてきました。

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レストランでは料理の写真撮影が禁止されているので(モナコの店もそう)、ご参考までに、昨秋に発刊された「アラン・デュカス 進化するシェフの饗宴」(新潮社・左写真)の1ページから、料理の写真を掲載させていただきました。

ちなみに、美しい写真の豊富なこちらの本には、何ともゴージャスでクラシックな造りのモナコの本店「ルイ・キャーンズ」も登場します。

で、ランチのメニューは以下のような内容でした。

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・小さなシュークリームのようなアペリティフ

・バルバジュアン
  Barbagiuan (ちょっとスパイシーな、小さなフライ)

・ガンベローネ海老(ア・ラ・プランチャ)
 ?ウイキョウのフォンダン、ラディッキオのグリエと苦みのあるハーブ
 Gamberoni Dores a la Plancha, Coeur de Fenouil Fondant, Radicchio Grille et Herbes Ameres

・自家製パート<フィーヌ・フイユ>
 ?トリュフで味つけした新野菜
 Fines Feuilles de Pate Fraiche, Primeurs en Fins Copeaux Lies de Truffe Noire

・ストックフィッシュの繊細なラグー
 ?タラのポシェ、<ソシッス・ペルジナ>と酸味をきかせたロメインレタス
 Delicat Ragout de Tripettes de Stockfish, Morue Pochee, Saucisse "Perugina" et cotes de Romaine Acidulees
 
・レモンと柑橘類フルーツのタルトレット
 ?オレンジのチップス、マンダリンのソルべ
 Tartelette au Citron et Agrumes, Chips d'orange, Sorbet Mandarine

・小菓子とショコラ
 ?"アラン・デュカス"
 Mignardises et Chocolats Alain Ducasse

プラス、グラスワインが1000-2000円程度。

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※ディナーのメニューを含めた詳しい資料は、BEIGE TOKYOのサイト(PDF)をご覧ください。

メニュー中の"・ガンベローネ海老"は、日本の車海老に相当する海老。イタリア語ですね(フランス語では"ガンバ"gambaと呼ぶことが多いよう)。モナコは、フランスに囲まれた地中海沿岸の小さな国ですが、イタリアに国境が近いのでしたっけ。

食材は、この熊本産のガンベローネ=車海老を含めて、ほとんど日本産。野菜は同じく、日本産の有機野菜を使用しているとのことでした(なるべく土地の食材を使う姿勢がいいですね!)。

"フィーヌ・フイユ"にたっぷりとかかった黒トリュフは、チェルッティ氏が現地から持参したものだそうで、香りの高さにウットリしました。

新鮮な魚介類に、良質な野菜の自然な甘さ。ほどよいスパイスに、香りのいい、さわやかな柑橘類(チップスとして使われていました)と、トリュフなど高級素材のエッセンス...。そして、赤、オレンジ、グリーンといった鮮やかな色合いが、コートダジュールの潮風と明るい太陽を連想させます。3つ星レストランならではの洗練された味と、南仏風でもあり、イタリア風でもある、チェルッティ氏によるモナコ料理をたっぷりと堪能させていただきました。

デセールは、レモンと柑橘類のタルトレットと、マンダリンのソルベ。また、最後の小さなお菓子にハーブの香りのするマシュマロや、シャネルのボタン型(!)のチョコレートなどを出していただいて、女心をくすぐる、いかにもフランス流のエスプリに、「やるなぁ」の思いでした。

終わりよければすべてよし、といいますが、デュカス氏のレストラン演出のニクいところは、帰りに、おみやげになるようなお菓子をさりげなく用意してくれたりする点です。こんなことされたら、「また来なくては」なんて、つい思っちゃいますよね(笑)。

全体的には、どちらかというと女性好みのライトな料理で(実際、モナコ店の料理は「ご婦人のための料理」と称されているそう)、たとえそのあとで、味の濃いラーメンやモツ煮込みを食べても(笑)、余韻が翌日も、その翌日も...と長く残るような料理でした。驚きましたが、これも3つ星の実力でしょうか。

で、この特別ランチコースの価格は15000円。モナコの店を訪ねた知人によると、現地ではすべて込みで105ユーロだったとのことで、内外格差はそれほどなかったようです(ただし、日本は、ワイン代、コーヒー紅茶代は別途の価格)。ディナーコースは30000円(肉料理も含む)。本店は夜はコースの設定がないそう(つまり、天井知らずの値段(汗)で、日本でのディナーの方が、よけいな心配をせずにいただけたかもしれません。

ちなみに、「BEIGE TOKYO」を訪れたのは、私は今回が初めてだったのですが、見晴らしのいい10階からの眺めと、天井の高いゆったりした空間、そして、シャネルツィードの椅子を含めた、まさにベージュで統一されたスッキリとモダンなインテリア(ココ・シャネルのもっとも好きな色がベージュだったそう)は、なかなかの居心地のよさでした。リフレッシュできるような贅沢な気分を、たっぷりと味わえます。

ところで、ルイ・キャーンズ=ルイ15世とは、またどうして、有名なルイ14世とルイ16世にはさまれたマイナーな王様の名前を...と思い、お店の方に店名のいわれをうかがったのですが、お忙しかったみたいで、今回は、聞きそびれてしまいました(今回はデュカス氏も来日され、チェルッティ氏は、ランチとディナーの合間にミーティングをはさむ忙しさだったよう)。

次回は、夏にパリのプラザ・アテネ店のフェアを開催する企画があるとのこと。機会があればまたうかがってみたいところです。

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BEIGE TOKYO
中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング10F
Tel. 03-5159-5500
http://www.beige-tokyo.com/

■営業時間:11:30-14:30(LO)、18:00-21:30(LO) 閉店23:30

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profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。

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