e-food.jp » 青木ゆり子のブログ » トルコ料理 » トプカプ |トルコ料理|表参道
2006年01月19日

トプカプ |トルコ料理|表参道

gyubechi.jpg

家庭的なトルコ料理店

【表参道】表参道の青山通りから路地を入ったところにある、小さなトルコ料理レストラン。トルコ中南部のアダナ出身のオーナーシェフ、ユナールさんと、日本人の奥様が切り盛りしている、家庭的なお店です。

上写真は、肉や野菜を煮込んだ土鍋料理"ギュベチ"。かつてオスマントルコの領地だった、ギリシャやブルガリアにも似た料理がありますね。"トルコ版肉じゃが"とでも呼びたい、優しいおふくろの味で、特に寒い冬には、身にしみるようにおいしく感じます。

ちなみに、ブルガリア出身の大関・琴欧州が、ヨーグルトがいかに体にいいかを語っていますが、ヨーグルトはトルコ語の"ヨウルト"に由来するもので、こちらもギュベチと同様、オスマン帝国時代にさかのぼる、文化往来の忘れ形見。ヨーグルトはもともと、トルコ系遊牧民の生活の中から生まれたものだといわれています(地方によってさまざまな種類のヨーグルト菌があって、ウチが発祥地だ、といろいろな国が名乗りをあげていますが...)。

そんなわけで、トルコ人もヨーグルトをそのまま食べたり、料理に使ったりして、バクバク食べます(笑)。グルジア出身の黒海関も、似た文化圏の人でしょう(グルジア生まれの"カスピ海ヨーグルト"なんていうのもありますしね)。

kebab.jpg
salad.jpg

さて、この日は、トルコ料理に造詣の深いおうさるさんの一行と出かけたこともあって、シシケバブ(語源はアルメニア語とも)や、チョバンサラダ(羊飼いのサラダ)(上写真)などの通常メニューとともに、ユナールさんの故郷の料理を楽しませていただきました。

turkey.jpg

ここに、簡単ですが、トルコの地図を用意してみました。ユナールさんの出身地アダナの場所を確認してみましょう。

シリアとの国境に近いアダナは、中世にはアジアからのスパイス貿易の拠点として栄えた港町。そんなわけで、アダナでは、辛い味付けの少ないトルコ料理にしては、スパイシーな料理が今でも多いのだそうです。トルコ料理レストランでときどき見かける"アダナケバブ"(羊や牛ひき肉のピリ辛い串焼き。上のシシケバブの写真の一番上がそう)なんていう、名物料理がありますね。

地図を見るとわかる通り、トルコは、イラン、イラク、シリア、ギリシャ、ブルガリアなど、たくさんの国と国境を接しています。日本の約2倍の国土を持つ、まさに東西文化の交差点であり、ひとことでトルコ料理といっても、実は地方ごとに多様な特色のある国なんです。

東京にもトルコ料理レストランがずいぶん増えましたが、最近は、こちら「トプカプ」をはじめ、イズミル(阿佐ヶ谷の「イズミル」)、カッパドキア地方(渋谷の「ヒラル」)など、シェフの出身地の料理をメニューに取り入れて、特色を打ち出しているお店が少なくありません。

私も食のお国自慢は大歓迎ですね。シェフが子供の頃から親しんできた、こだわりのある料理を出すお店の方がおいしいはずですし、郷土料理は、どこの国でも、旅行好きの心をくすぐる魅力的なものですから。

トプカプ Topkapi
港区北青山3-6-26 SIビルB1
Tel. 03-3498-3510
http://members.at.infoseek.co.jp/Topkapi_Turkey/
https://e-food.jp/cgi-bin/restfind/view1.cgi?no=1223

■営業時間: 17:00-23:00(L.O.22:30)
■定休日: 日、第2月



profile 著者:青木ゆり子 Author: Yurico Aoki

e-food.jp代表、各国・郷土料理研究家、全日本司厨士協会会員 調理師。主な著書:図鑑NEOまどあけずかん「せかいのりょうり」監修(小学館 2021)、「世界の郷土料理事典」(誠文堂新光社 2020)。

※この記事・写真等はe-food.jpが著作権を所有しています。無許可での転用・転載はご遠慮ください。商用利用の記事、写真等は販売しております。→「利用規約」


» トプカプ (表参道) from レオナルド de かぷり夫
表参道は、みずほ銀行から青山通りを渋谷方面へ少し進んだところの小道をはいるとあります。店は地下ですが、入り口に「TOPKAPI」と書いてあります。トプカピ? ト...

トラックバック時刻: 2006年01月20日 03:07


この記事のURL:

GO TOP